肉眼的血尿

肉眼的血尿の原因疾患は多彩です。尿路結石、尿路感染症、または泌尿器がんの可能性などを考慮しなくてはなりません。
疼痛や頻尿を伴わない、血尿しか症状がないもの（無症候性血尿と言います）は、より泌尿器科がんの可能性を考えなくてはなりません。患者様にとってはどの疾患も一大事ですが、やはり泌尿器科医としては命に関わる疾患（泌尿器科がん）がとても気になるところです。
目に見えた血尿を確認してもすぐに止まってしまったからと言って様子を見てしまい、病気の発見が遅くなってしまったケースをたくさん経験してきました。肉眼的血尿は1回あれば、明らかな異常所見です。速やかな泌尿器科受診をお願いします。

肉眼的血尿を認めた際には、原因が必ずあるものと考え、積極的に検査を実施します。

更に、大きな病院で造影CTを撮影することをお勧めします。
以上の検査を実施しても原因不明の場合はありますが、速やかに治療を開始しなくてはならない病気は否定的と考えることができます。最近では“血液サラサラの薬”を内服している患者様が多く、そのようなケースも増えてきています。
また、原因がひとつでなく、複数の病気が絡み合って症状が出現している可能性もあります。膀胱炎を繰り返している患者様に、実は膀胱がんが潜んでいたという患者様にまれに遭遇します。
確率は低くなりますが、“顕微鏡的血尿”から泌尿器科がんが見つかることもあります。検診にて“尿潜血陽性”の指摘を受けた場合には当院へご相談下さい。患者様が苦痛を伴わないレベルの検査（尿検査、超音波検査）は、実施すべきと考えています。